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2009年06月14日

三沢…

 ノアの三沢が亡くなられた。直接のトリガーはバックドロップのようだが、試合中から調子が悪そうな雰囲気だったらしい。四天王プロレスの流れをくむノアは、本当に垂直落下系のえぐい技を連発し、食らった方もすぐに立ち上がってさらに技をかけ返すというやりとりが続くので、コンディションが悪いとこのような結果になってしまうのでないかと思う。

 しかし三沢は業界でも屈指の受け身の達人だった。だからこそ相手は大技をかけることができたし、それが故に三沢はトップレスラーになることができた。プロレスは相手の技を受けることができないと一流にはなれない。相手のすごさを存分に出させて、そして自分が勝つからお互いに評価を高めることができる。

 その最たるものが旧全日の四天王プロレスであると私は思うのだ。

 しかしそれは、必殺技の軽視にも繋がっていった。かつて、ルー・テーズの必殺技はバックドロップであった。カール・ゴッチはジャーマン・スープレックスだ。そこに至るまでの技の積み重ねで、これらの技に説得力が生まれる。必殺技であるからこそそれは大事にされるし、大事にされるから技の価値が高まっていく。もっとも、テーズも晩年には出会い頭のバックドロップくらいしか主張できる点がなかったのも事実だが…。

 全日の、休憩前のメインイベント、ファミリー軍団対悪役商会なんて、最後は馬場さんの十六文キックで終わるが、なんだかんだ言ってもそこに至るまでを楽しみ、十六文キックをそろそろ出るぞ、次に出るぞと楽しみにしていた。その威力が云々ではなく、これは十六文キックを育て上げたからこその反応であると思う。まさに王道十六文だ。

 あと必殺技といえばウエスタン・ラリアットだろう。腕を高々と上げてサポーターをずらす、それだけで観客のボルテージは最高潮になる。そして実際に技を出して臨界点を突破する。生まれも育ちも全く異なる観客が、ウエスタン・ラリアットという必殺技を通じて一つになると言っても良い。説得力がない技だとこうはならない。めいめい自分が感じたところだけで歓声をあげ、結果として盛り上がりに欠ける試合になってしまう。

 話を戻すが、四天王プロレスには、常にそういう焦点が分散される危険性があった。受けて反撃してさらに反撃して両者ダウン、そこで一つの流れは終わる。そこからさらに繰り返される。また盛り上がり、一段落して流れが終わる。それでも上手く大きな流れに乗せることができていたから面白かった。

 ただ、これはプロレス力があるからできる芸当である。このごろのプロレスが今ひとつ面白くないのは、一つに単発の大技の出し合いになっているということがある。昔は前座ではドロップキックくらいまでで、後は実に地味な技しか出さなかった。これは方針だったそうだが、そうやって技が制限されないと組み立てと言うことを考えられないのではないか。

 今でも思い出すが、WWF(当時)が久しぶりに日本に来た際、横浜アリーナでザ・ロック対クリス・ジェリコを見たのだが、そのほかの試合もそうだったけど本当に基本の技のきれいな応酬が多かった。地味な技だが、それでも見せ方によってここまで派手というか見栄えよくできるのだなと思ったものだ。

 メインイベントですら、ロープに振ってアームホイップとか、もの凄く一つ一つの技を丁寧に使っていた。なんせ、両者の必殺技だって特に変哲のないものだ。ザ・ロックのピープルズ・エルボーは前振りは派手だが要するにエルボードロップだし、ジェリコのウォールズ・オブ・ジェリコに至っては逆エビ固めだ。でもそれらを育てたから盛り上がるし、説得力がある。これが凄いのだな。

 三沢の死をきっかけに、と言ったら不謹慎かもしれないが、それでもそれをきっかけに四天王系ハイスパートプロレスは廃れる方向に向かってほしい。大技の価値を暴落させ、とにかく脳天から落とすことで盛り上げるスタイルはおかしいと私は思う。

 クラシカルなスタイルへの回帰。当然、急に回帰すると退屈に思う人が出てくるだろうから、興業としては徐々に技を大事にする、育てる方向に行ってもらいたい。難しいだろうが、なさねばなるまい。

 いろいろ書いたが、面白いプロレスを私は見たい。それはお前にとっての「面白い」だろう、と思う人もいるだろうが、それはその通り。しかし、そのようなプロレスが評価を得ているのも事実だ。それはアメプロや昔のプロレスに一定以上の固定ファンがいることでもわかる。

 彼の死がプロレス界に与える影響はかなり大きいだろう。レスラーとしても経営者としてもだ。だからこそ残念であり、悲しい。謹んでご冥福をお祈りします。

投稿者 Gaban : 2009年06月14日 11:15

コメント

私のプロレス黄金期はやはり天龍同盟から正規軍対超世代軍、そしてジャイアント馬場。
三沢の存在はかなり大きい。ハード過ぎたからもう限界だったぽいですなあ…。
いつああなってもおかしくなかったんだろうと思う。

しかしミスター青魔導師はブルー・ジャスティスのことか?w
考えれば、ブルー・ジャスティスみたいに自然と顔芸などのぬるい路線を中心としていくのがいいんだろうなあ。
ここ一番ではハードにやるけど普段は見せ場だけ作ってあとはぬるく。これだろう。

投稿者 Gaban : 2009年06月16日 11:43

ニュースでテンカウント聞いた時は、信じざるを得なかったですね。

受けの天才がなんでとは思ってたんですが、体調悪かったのですか。斉藤が社長って叫んでるのを聞くと泣きそうですわ。

みちプロともノアはやってくれてましたしショックはでかいですなあ…

ご冥福を祈るとともにミスター青魔導師がプロレスを引っ張っていく事を期待します。

投稿者 ば : 2009年06月15日 09:16

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